恋人 × 交換!? 【完】
にぎやかな雑踏のすき間から、カラカラカラ、とテンポの速い下駄の音が聞こえて、ミッチがやってきた。
そばには、やや焼けた肌の短髪の、体育会系の男子がいる。
1つ上の彼氏だろうか。
「やっぱ、きてたんだね……ん?この人誰?千住奏は?」
矢継ぎ早の質問に、私はうんともすんともいえなかった。
「お~い。マドカ~?」
「…………」
今の私は、出店の鉄板みたいに湯気をたくさん出してるに違いない。
誰からの言葉も、耳に入っては、すぐに蒸発してしまって答えられなかったから――。