恋人 × 交換!? 【完】
迷っている間、拓人さんは文句ひとついわずに待ってくれていた。
なんだかそれが申し訳なくて、私は途中で品定めをやめて、「紅茶」と目についたものをいった。
――ガコッ、ゴトッ!
「はい。じゃあこれ」
出てきた缶をくれた拓人さんは、別でペットボトルのサイダーを買い、フタを開けて飲み始めた。
(…………)
上を向いて喉仏が動いてる。
だけど、なぜなんだろう。
奏のときみたいに、釘づけにはなってくれない。
普通に考えれば、いつも奏をとり巻く子たちがいうところの、「画になる」場面なのに――。
「ふうっ。そろそろ駅に行こっか。ここにいても照り返しで暑いからね」
半分ほど飲み終えた拓人さんと、ふたたび歩き出す。
(……今ごろどうしてるかな。彼女といるのかな……)