恋人 × 交換!? 【完】
見ると、自転車にまたがった若い男の人が頭を下げていた。
「いえ。こちらこそ失礼しました」
ぼう然とする私の代わりに、拓人さんが丁寧に謝罪すると、若い男の人は胸をなでおろしたように去っていった。
「大丈夫?」
「…………」
心臓は、ものすごい数を刻んでいた。
事故になりかけたからだけど、それだけじゃないことは、すぐに気がついた。
「円ちゃん」
拓人さんの声が、異常に近いのだ。
目線を落とすと、お腹あたりに腕が巻きついている。
私は、助けられた拍子に、拓人さんに後ろから抱きしめられていた。
「え……あ……っと……大丈夫、です……」