恋人 × 交換!? 【完】
◆9:この世で一番切ない4文字
。●
「あ、あの……」
帰りの電車の中で、私は拓人さんに声をかけた。
「ん?どうしたの、円ちゃん」
隣で吊革を握っている彼は、なんら変わらない表情でこっちを向く。
私が疑念を抱いてるなんて、露ほども感じていない。
少し前まで王子様だったけど、からくり屋敷の「どんでん返し」みたいに、今では王子の皮をかぶった賊という印象に変わっていた。
「ちょっと、お話が……あるんですけど」
「どんな話かな?」
私が口を開こうとしたときに、最寄り駅への到着アナウンスが流れた。
「あ、いえ……」
「もうすぐ着くから、駅のなかの喫茶店で聞こうかな。ほとんど飲まずに紅茶こぼれちゃったしね、円ちゃん」
駅に着いた私たちは、そのまま喫茶店に入った。
拓人さんはアイスココア、私はアイスティーを持ってテーブルにつく。