恋人 × 交換!? 【完】
「どうして……こんなこと、するんですか?」
アイスティーのグラスに伝う汗が涙みたいに思えて、私は下唇をかんだ。
「違うんだ……。円ちゃん……」
「何、が」
ぐっ、ぐっ、と声が喉に詰まる。
これ以上に口を開いたら、耐えきれそうにない。
それでも、このまま黙ってても意味がない。
「何が、違うんですか……」
私は頑張った。
テーブルの下で、痛いくらい拳を握って頑張った。
「知ってたん……ですよね……みんな。拓人さんも、古都さんも、あと――」
手のひらに、爪が食いこむ。
手のひらが、ズキンとした。
「奏も……っ!!」
名前を出した瞬間に、とうとう我慢できなくなった。
咳に似た息をはくと、悔しさが粒になって、焼けるみたいに熱く頬を伝った。