恋人 × 交換!? 【完】


「どうして……こんなこと、するんですか?」



アイスティーのグラスに伝う汗が涙みたいに思えて、私は下唇をかんだ。



「違うんだ……。円ちゃん……」


「何、が」




ぐっ、ぐっ、と声が喉に詰まる。




これ以上に口を開いたら、耐えきれそうにない。



それでも、このまま黙ってても意味がない。



「何が、違うんですか……」



私は頑張った。



テーブルの下で、痛いくらい拳を握って頑張った。





「知ってたん……ですよね……みんな。拓人さんも、古都さんも、あと――」





手のひらに、爪が食いこむ。



手のひらが、ズキンとした。




「奏も……っ!!」




名前を出した瞬間に、とうとう我慢できなくなった。



咳に似た息をはくと、悔しさが粒になって、焼けるみたいに熱く頬を伝った。

< 183 / 270 >

この作品をシェア

pagetop