恋人 × 交換!? 【完】
「オマエさ、まず謝罪すんのが先だろ」
黒ぶちメガネの奥にある大きな目に、私はまわりの空気ごと縫いつけられた。
加えて、石化してしまうメドゥーサの呪いか何かをかけられでもしたのか、みるみる身体も硬直してく。
「えっ……あ……そ、の……」
おまけに、声の出し方を忘れた赤ん坊みたいに、口ごもる始末。
間近でこんなに視線を注がれたら、心が満ちるに飽き足らず、あふれこぼれて喋るどころじゃない。
口の中が急激に渇いてしまったのは、この夏に照り返したアスファルトのせいとは違うはず。
このままじゃダメだと目を逸らすと、千住くんは「なあ」といった。
「謝ってくれねぇのかよ?たしか、百合岡なんとか」