恋人 × 交換!? 【完】
「…………!!」
苗字を呼ばれて、暴れてた心臓が、勝手な予想だけど、コンマ何秒かの単位で停止した。
呼吸の仕方さえ思い出せずに、吸うことも、はくこともできなくなった。
(い……今、今今今、千住くんが私の苗字を呼んだ?)
正しく認識するまでに、たっぷり1分はかかったと思う。
「なんだっけ、オマエの名前」
いいながら、彼はそらした私の顔を不意にのぞきこんできた。
息が顔にかかるくらい近づかれ、私は開いたびっくり箱状態で顔をびょんとあげる。
「……ま、円」
声がバク宙。
見事にひっくり返った。
「ああ。そんな名前だったっけ。クラス一緒だけど、苗字しか知らなかった」