恋人 × 交換!? 【完】


そう――。



千住くんは、私と学年もクラスも一緒だった。



だけど、向こうはこっちのことを知らなくても不思議じゃない。



集まってきて彼にアピる女子は常にいるし、クラスメートとはいえ「そこらの女子の中のそこらの女子」である私の名前まで把握することなんて、ありっこない。



苗字を覚えてくれてたことだけでも、ありがたいと感じるくらいだ。



ただ逆に、こっちは彼のフルネームが「千住奏」だって知っている。



現実味のない外見同様、度を越して頭脳明晰で、運動神経だって抜群なことも。



名前のように、「住」んでる世界が「千」ほど違う彼は、けれど私の理想像でもあったから。



というか、理想じゃない女子がいるなら会ってみたい。

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