恋人 × 交換!? 【完】




『新しい恋人。ダメかな、ぼくじゃ』




拓人さんの言葉が、頭をかすめた。



「天然なとこあるけど、完璧だろ?ひねたオレより……。オマエ、あいつに……」



語尾が力なく消えたけど、それが「心が揺れたりしなかったのか?」というような質問だと理解できた。



「……たしかに、拓人さんは完璧だった。王子様って言葉が、ぴったりなくらい」



自販機でのシーンを、思い返した。



私が選ぶのを、ずっと、じっと待ってくれてた、拓人さん。




「ただ……違ったの……」




切り替わって、今度は助けてもらったときに抱きしめられたシーンへ――。



「違ったって?」



私は、拓人さんに包まれた感触を思い出しながらいった。



「奏がしてくれたのと似たように、ぎゅってされたけど……でも、違った。なんていうのかな……。サイズが合わない靴を履いてるみたいだった」

< 229 / 270 >

この作品をシェア

pagetop