恋人 × 交換!? 【完】
『新しい恋人。ダメかな、ぼくじゃ』
拓人さんの言葉が、頭をかすめた。
「天然なとこあるけど、完璧だろ?ひねたオレより……。オマエ、あいつに……」
語尾が力なく消えたけど、それが「心が揺れたりしなかったのか?」というような質問だと理解できた。
「……たしかに、拓人さんは完璧だった。王子様って言葉が、ぴったりなくらい」
自販機でのシーンを、思い返した。
私が選ぶのを、ずっと、じっと待ってくれてた、拓人さん。
「ただ……違ったの……」
切り替わって、今度は助けてもらったときに抱きしめられたシーンへ――。
「違ったって?」
私は、拓人さんに包まれた感触を思い出しながらいった。
「奏がしてくれたのと似たように、ぎゅってされたけど……でも、違った。なんていうのかな……。サイズが合わない靴を履いてるみたいだった」