恋人 × 交換!? 【完】
今思えば、あのときから、私は「奏しか好きでいられない魔法」にかかってたんだと思う。
あの、おでこにキスをされて、心が炭酸になった瞬間から――。
「そう、か……」
ややおいて、奏がつぶやいた。
「覚悟は、できてたん……だけどな……」
「覚悟?」
彼は、片手で頭を抱えるようにして、髪の毛をつかんで握りしめた。
「どんなにつくろったって……。オマエを信じなくて、物みたいにあつかったのは事実。だから、できてた……。ここで、別れる覚悟」
「…………っ!?」
聞きとりづらいほど語尾は小さかったけど、たしかに耳には届いた。
「遠慮とか……するなよ。悪いのはオレだから……オマエを傷つけたんだから。責める言葉も受け入れるし、もし本当は別れたいん――」