恋人 × 交換!? 【完】
「ふう……」
なんにしても、奏の気づかいはありがたかった。
これ以上、対策をせずに歩いてたら、悪化してたところだ。
「いたたたた……っ」
テーブルに座って、持っていた絆創膏を貼った。
これで、帰り道くらいはなんとか耐えてくれるはず。
「……もう夕方、かぁ……」
ひと息ついて、陽が落ちかかった遊園地をぐるりと見わたした。
にぎわっていた空気も、いつの間にか、夕陽と一緒に沈んでいくように、ちょっとずつ静かになりつつあった。
小さな子どもが、風船を凧みたいにして通り過ぎる。
カップルが、何やら話をしながらアトラクションを指さして笑ってる。
さっきまで、自分もこんなふうに楽しそうにデートをしてたんだと思うと、なんだか顔がにやけてきた。
もういっそ、これが嘘でも夢でもなんでもいいかとさえ思うほど。