恋人 × 交換!? 【完】
――ピピピピッ、ピピピピッ!
幸せをかみしめていると、手のひらで、バイブと連動して奏の携帯電話が鳴った。
スライドすると、いつもの炭酸みたいなフラッシュ待ち受けが現れた。
下のほうには、「新着メール1件」の表示。
ままならない操作ながらボタンを押していると、表示は「百合岡円」、私だった。
『ケータイ、観覧車にあった。今から戻る。オマエは迷子になってないか?』
「そっか……観覧車で落としてたんだ」
あの、押し倒された格好になったときに落ちたのかもしれない。
私は、すぐに返事を打とうと思って、返信画面へ移動。
「ありがとう、かな。まずは」
ひとり言みたいにつぶやきながら、「あ」の文字を押す。
そのとたん。
私の視界が、ぶわっとゆらめいた。
一気にこみあげてきた涙があふれて、液晶をすべる。
「…………っ…………っ!!」
次の文字を打つこともできずに、ひたすら濡れて歪んだ画面の中を、震える息をはきながら見つめることしかできなくなった。