ひとりぼっちの勇者たち
ベッドの下の嘘吐き


◆ ◇ ◆


きみの言う通りだと思った。

そうだよね。おかしいよね。
どんなに他人に願ったってすがったって、ぼくを殺すのはけっきょく、ぼくでしかないんだ。

ぼくを殺す為の言葉なんて、絶対に月子ちゃんは言わない。
例え相手がぼくじゃなくても、誰でも、そうきっとあいつらにでさえ、そんなこと言わない。

だけどそれは、月子ちゃんだけじゃない。きっと、“みんな”。

だって世界中のほとんどの人は、ぼくが思っているよりずっと、ぼくに無関心だから。
ぼくが死のうが生きていようが、きっとどうでもいいから。

でも、不思議だ。
ぼくを殺すのはぼくでしかないのに、ぼくを救うのは、ぼくじゃない。

ねぇ、じゃあ、月子ちゃん。

それってさ、ぼくはきみに生かされてるってことに、ならないのかな。
それはやっぱりぼくの都合の良い解釈かな。勝手な思い込みかな。
ぼくがそう、望んでいるだけなのかな。

でも、それでもやっぱり、月子ちゃん。

きみにも誰にもわからなくても、今ぼくの心臓が動いているのは、きみのおかげだ
誰になんて言われようと、それだけは、絶対に。

だってそれは“みんな”じゃなくて“誰か”じゃなくて、きみだったから。

──きみだったんだ。

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