ひとりぼっちの勇者たち


ふと顔を上げると、そこは変わらず屋上だった。

だけど先ほどまでと違うのは、そこには“あたし”が居て、そしてあの人も、八坂昴流も居るってこと。
その光景はまるで、あの日のよう。

夢でも、見ているのだろうか。

『さっきからずっと、きみを呼んでた。きみには聞こえなかったみたいだけど、ずっと。だけどついさっき、その呼び声も止んだ』

あたしは今、“ここ”に居る。
ここがどこかもわからないけれど。
だけどこれが夢ではないのなら。

『きみが決してやらなかったこと…できなかったことを、陽太はやろうとしているみたいだよ』

< 342 / 394 >

この作品をシェア

pagetop