ひとりぼっちの勇者たち
「…今日も抵抗、しないんだ?」
すぐ近くで吐息の混じった声がした。
ぞくりと痺れる。体も心も。
晃良兄さんにきつく結んでもらった包帯が、パラリと解けた。
それを視界の端で見つめる。
すこし哀しかった。
「いいの? これ、撮ってるヤツ。モザイクすらかけられないで、どっかのエロ動画サイトにアップされちゃうかもよ?」
耳が、頭が、熱い。
哀しみを押し退けてざわざわと込み上げてくるこの感情は、なんだろう。
初めてだ、こんな感覚。
「……いい」
「……」
これをおそらく“怒り”とするなら、一番ゆるせないのは。
「わけ、あるかぁ…!!」
自分だった。
自分自身と、それから。
月子ちゃんだった。