ひとりぼっちの勇者たち
また逃げたのかこのひと。
「…まぁもういっそその方が良いか…あなたに料理ムリそうだし…」
『ご、ごめんね…そ、それで、今そっちに向かってるから…!』
「こっちに? わざわざ?」
『だ、だって、心配だし…』
ホント自分本位なところでは行動力ある人だな。
まぁまた短時間で元に戻らない限りは、居てもらった方が良いか。
今回の場合は。
「じゃあひとまず、部屋で待機してればいいのね」
『お、お願いします…!』
そうして漸く通話を切り、一度閉めたドアの鍵を再び開けて中に入る。
うちからここまで確か1時間はかかるはずだ。
彼が自転車に乗れればもっとはやく着くだろうけれど…その間に元に戻ることを祈るしかない。
本日何度目かわからないため息をついたその時
──コンコン
突如ドアをノックする音が、部屋に鳴り響いた。