私は、妹がエイズという病気にかかった理由を、必死になって探しました。

 でも、母は必死に探す私を、止めようとしてきたのです。




――― そんなお母さんが、許せなかった?
  



 いえ、最初はそんなの気にしていませんでした。

 母はどうせ、妹の死を速く忘れたいだけだろうとか、妹の死によって私の人生までおかしくならないようにと、気を遣ってくれているのかなとか、いろんなことを考えていました。

 今思えば、妹の死を一番分かっていたのは、母だったはずなのに、なぜ母を問いたださなかったのかは、未だ疑問です。
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