秘密
 あれ、まだ松山先生は帰ってないのですか。



――― さっきまで電話してたんじゃないんですか?



 あぁ、一応。

 でも、風邪は治ったとは言っていたのですが、なかなか帰ってこなくてね。

 本当に困るな、自分のクラスの生徒が不登校になってしまったのにも関わらず、何事も無かったかのように学校を休むだなんて。正に松山先生が不登校じゃないか。ハハハ…



――― 言えてますね。でも、生徒の中に松山先生が元気そうに家を出て行くのを見たと言う者がいますが。



 まぁ、良いじゃないですか。

 松山先生だって、経験の分、それだけの嫌味は買っているはずだ。

 生徒が嘘でもついたんじゃないんですか?

 それに、例えそれが本当であっても、今更そうにもならないでしょう。

 放っておきましょう。

 まず、松山先生には学校に帰って来てもらわないと…。



――― もう一度、電話してみますか?



 あぁ、宜しく頼む。


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