最初は嫌がっていた妹ですが、

 「ここまできたらやるしかない」

 と言って、モデルオーディションを受けました。



 そして何と、合格したのです。

 心のどこかで嫉妬しながらも、

 その時は本当に良かったと思っていたのです。


 心から、喜んであげられました。



 しかし、それから約二年後くらいのことでしょうか。

 妹が急に

「モデルの仕事をやめたい」

 と言い出したのです。



 でも、そんな予感はしていました。

 モデルにはなったものの、

 一か月に一回、あるかないかのモデルの仕事は、

 普通にアルバイトした方が金を稼げるのではないかと、

 疑ってしまう程の給料でした。




 まるで、モデルの仕事は趣味でやっているかのようでしたし、

 モデルの仕事を妹に勧めておいて、

 この言い方はないかもしれませんが、

 これから妹が人気急上昇!!

 なんてことも、考えられなかったのです。


 私も、母も止めることはできませんでした。

 結局、モデルの仕事を辞めた妹は、

 家でのんびり暮らしながらも、

 密かにアルバイトをやっていたようです。



 高校の教師をやっている私には、

 隙一つ見せずに、懸命に頑張っていたのでしょう。


 そのせいなのか、

 私はその妹のアルバイトに気付いてやれませんでした。

 しかも、その頃体調を崩してしまった母は、

 毎日寝た切り状態で、妹の変化に気付いてやれなかったのでしょう。
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