――― そうですか。残念です。今日は篠原さんのお別れ会だったのに…。



 お別れ会?もしかして、転校するんですか?篠原さん。



――― 教頭先生ご存知ありませんでしたか?篠原さんは、今日でこの小野平高等学校を中退するんですよ?



 中退ねぇー。

 今どきの子は、すぐに自分の夢をあきらめてしまうから、もったいなくて悲しくなりますよ。

 夢を諦めたら、人生失った同然じゃないか。



――― 篠原さんは、人生を失ったのではありません。奪われたのです。そのせいで、夢さえ持つことが許されなかったのです。



 何の事でしょうか。

 変なことを言うのは辞めて下さい、松山先生。

 まるで篠原さんは、何かの事件に巻き込まれてしまったようではないですか。



――― 実際に巻き込まれてしまったようです。担任として、もっと私がしっかりすべきだったのか、教頭として、もっと貴方がしっかりすべきだったのか。どっちだと思いますか?教頭先生。
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