英雄飼育日記。


今の今までだんまりを決め込んでいた男、市木がようやく口を開く。

それも、愉快そうに。


今まで5ヶ月は同じクラスだったけど、こんな笑ったところ見たことないぞ!?

こいつって、寝てるだけじゃないんだなあとどこかずれたところで感心する。


「お前、成績とりたくねーの?」

「い、いきなり何故!?」


ちゃんと勉強はしてるしー、かなりまじだしーと返す。

棒読み気味になっているのは見逃してほしい。

すると市木は、まるで馬鹿でも見るような目で私を映す。

やだー、ものすごく蔑まされてる感が否めませーん。


「お前、ほんとに何も知らないのか…………」

「私はあんたがファンタジー世界の住人だっていうことに驚きよ」

「勝手に主を異世界の住人にしないでいただきたい」

「タツ、お前は黙れ」


せっかくかばってくれた風見に対する扱いの悪さ。

市木はよく寝ていて性格の悪いファンタジーなクラスメイトと判定された。

全てをまとめてみると意味わからなくなる。

ファンタジーなクラスメイトって何なんだ、一体。



「………………せっかくだから優しい俺様が説明してやるよ」

「うわあ、「俺様」なんて言う人本気でいたんだ。引くわー」

「タツ、こいつ殺せ」


ノー、プリーズ、ストップ、アイアムントユアエネミー!


何とか命の危機を脱する。

いざという時のために覚えておいた英語が役にたってよかったです。

「命の危機に対して使う外国語666パターン(税込み2350円)」を読んでいて本当によかった。


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