英雄飼育日記。
お勧めしてくれた書店のお兄さんにお礼のテレパシーを送っている中、市木は話し始める。
優しい優しい市木様かっこわらいのご説明。
「特殊能力者は、能力のかわりにある使命を受けている」
特殊能力者、というのは力を持つ人のことだろう。
カナトが言うには、色んな呼び方があるみたいだし。
私は黙って説明を聞き続ける。
「それは、周辺に巣くう妖怪の殲滅」
「殲滅って響きいいけど要するに」
「お前や普通の人は知らないと思うが、この街にはたくさんの妖怪がいる」
わあい、無視された。
しかし先程のように風見を使われても困るので大人しくすることに。
カナトが守ってくれるかもしれないけど、それで無駄に時間を消費するのはいただけない。
とりあえずちゃっちゃと終わらせて、夢から覚めよう。
この前の悪夢だって、あの男の子の言う通りにしたら目が覚めたみたいだから、これだってきっとそうだ。
話を聞いていけば、目が覚めるヒントがあるかもしれない!
「…………つまり。妖怪を討伐する度に使役者ランクが上がるってことだ」
「モンスター倒したら経験値入ってレベルアップみたいな感じかあ」
そう呟くと、優しい優しい市木様かっこわらいは呆れたと言わんばかりに頭を抱えてみせた。