英雄飼育日記。


これがカルチャーショックか、と一人ずれた解釈をしている途中でも彼は説明をやめない。

漫画にいたら便利なキャラだろうなあ、と彼を見上げる。

まあいきなり(他人を使って)人を襲い、更に自分で「俺様」とか言っちゃうクラスでのあだ名「眠り王子」な奴だけど。


「で、ランクを上げれば力も上がるし、これ相応の報酬もある」

「何なにー?」

「使役獣枠の拡張と、1つ願いを叶えることができる」



市木様かっこわらいによると、今の私は使役獣を3体まで使役できるらしい。

そして叶えられる願いはそのランクに応じたもの。

ランクが低いと世界征服できないが、ランクが高いと世界征服できるみたいな。


「要するにレベルアップ毎にペット枠拡張に特殊イベント発生なわけか!」

「………………どうしてそのたとえになる」

「衣幸の趣味がネトゲなんだよ」

「………………日ノ原」


再び頭を抱える市木様かっこわらいを無視し、カナトを探す。

そういえば、カナトも風見もいない。

辺りを見渡すと、一部分だけ砂埃が舞っている場所が。



「犬は犬らしく骨っこでも食べてればいいと思うよ、ほーらゴン太」

「その犬じゃないんだけどなあ…………野蛮な君の小さな脳みそでは理解できないようだね?」

「言っておくけど、君の遺伝子の元は僕なんだけど」

「それは普通の犬と狼の話だろう。妖である私たちは同時に生まれたようなものだ」

「うるさいポチ」

「よろしい、ならば戦闘だ」



囁くような声で口論する男2人がとてつもなく怖いです。
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