英雄飼育日記。


わー、ブレザーって空飛ぶんだねー。

そんな訳ないやろー。お前いっぺんシュールストロミングと5日間同棲しろやー。



「って何当たり前のように優しさ見せちゃってるの!?」

「俺が優しいと駄目なんですかあ゛ぁ?」

「し、しきくんってほんっとーにやっさすぃーね☆」


ギリギリだが命の危機を回避した。

ベリーカインドな市木君は不満足気だけど。

額の冷や汗を拭っていると、市木が「着ろ」と言う。

勿論その言葉の宛先は、カナト。


「どうして」

「1人の時はまだいいが、お前の使役者に迷惑がかかる」

「そういうことか。まあ、礼は言っておくよ、ありがとう」


そう言うと、カナトは市木のブレザーに袖を通す。

どうでもいいけど、素肌にブレザーって気持ち悪そう。


「ちゃんと洗濯して返せよ」

「そんなの常識! ってか、どうして貸してくれるの?」

「何が」

「さっきまで襲ってたじゃん、私のこと」

「ああ、それは」




お前に興味あるから。





そうとだけ言い残し、風見と市木の2人は一瞬で消え去ってしまった。




「…………いーなあ、一瞬で帰れて」


因みに、私はまだ現実逃避を続けていた。
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