英雄飼育日記。
定期的に長い有休をとってはよくわからない国へと旅に出る。
そんな父さんに私は呆れっぱなしだった。
父さんはいつも、いつ頃に帰るか言って出ていく。
しかしそれは大してあてにならないので、気長に待つしかなかった。
言った日付よりも遅かったり、はたまた早かったり。
唯一他の自称夢追人と違うのは、職を持っているというところだろうか。
だからこそ性質が悪いともいえるのだけども。
「んで、父さんはこういう怪しいお土産ばっかり買ってくんの」
子供心にはクッキーとかぬいぐるみとか洋服がよかったから、いつもがっかりしていた。
最終的にはこれが「父さんらしさ」と思うことで諦めたけど。
どこかの魔除けだったり呪いだったりちょっとアレなパワーがこもってそうな人形が、ベッドの傍に並んでいる奇妙な光景。
年頃の娘の部屋がこれでいいのか、よくないわ。
「………………サクハ君の父親は、サクハ君のことをわかっていたんだね」
「本当にわかってるなら年相応のお土産買ってくるでしょ」
「コレのおかげで、君は守られてる」
ファンタジー生物の言葉を理解するのに、案外時間がかかった。
守られてる。誰が。私が。
守られてる。誰に。人形に。
守られてる。何から?
「え、オカルト入り?」