英雄飼育日記。



定期的に長い有休をとってはよくわからない国へと旅に出る。

そんな父さんに私は呆れっぱなしだった。


父さんはいつも、いつ頃に帰るか言って出ていく。

しかしそれは大してあてにならないので、気長に待つしかなかった。

言った日付よりも遅かったり、はたまた早かったり。

唯一他の自称夢追人と違うのは、職を持っているというところだろうか。

だからこそ性質が悪いともいえるのだけども。



「んで、父さんはこういう怪しいお土産ばっかり買ってくんの」



子供心にはクッキーとかぬいぐるみとか洋服がよかったから、いつもがっかりしていた。

最終的にはこれが「父さんらしさ」と思うことで諦めたけど。


どこかの魔除けだったり呪いだったりちょっとアレなパワーがこもってそうな人形が、ベッドの傍に並んでいる奇妙な光景。

年頃の娘の部屋がこれでいいのか、よくないわ。



「………………サクハ君の父親は、サクハ君のことをわかっていたんだね」


「本当にわかってるなら年相応のお土産買ってくるでしょ」


「コレのおかげで、君は守られてる」



ファンタジー生物の言葉を理解するのに、案外時間がかかった。

守られてる。誰が。私が。

守られてる。誰に。人形に。

守られてる。何から?



「え、オカルト入り?」
< 27 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop