月夜に
プロローグ
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『ねぇどうして本当の子供じゃないのに私を育ててくれるの?』
『それはね、あんたが憎いからだよ、あの女の子供のあんたが憎いから。だんだんあの女に似てくるあんたが近くにいると、あの女への憎しみを忘れない』
そうまだ幼い私に言った人は憎しみのこもった瞳で私を見て殴った。
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ガバッ
「はぁはぁ」
昔の夢を見たまだ私が小学生のころの夢だ
夢、か・・・
瞼の上に腕を乗せて心を落ち着ける
────────とその時
ドンドンドンッ!
「いつまで寝てんだよ!さっさと起きなッ」
ものすごい力でドアを殴っている音とあの人の罵声
「起きてる」
そう言ってドアを開けると
「早く朝ごはん作れ」
そう当たり前のように言う人に呆れる
呆れた瞳に気づいたのか眉間に皺を寄せる
「何だよその目は、言いたいことあんなら言えよ!」
「・・・いえ、なにも」
「なにもって顔じゃないだろうが!」
パンッ!
痛い・・・
顎を持ち上げられいやでも私より背の高いその人を見上げてしまう
「あぁら大変綺麗なお顔に赤い痕が・・・」
誰のせいだよ・・・