月夜に
「一段とあの女に似てきた。憎い憎い泥棒猫」
カァッとなり
その人に見えないところで拳を作る
お母さんのことを悪く言われて黙っていられない
今にも殴りかかりそうになった時だった
ピピピッピピピッ・・・
8時を知らせる目覚ましが鳴った
「やっだもうこんな時間あんたがトロイから」
そう言いながらバタバタと用意する人をみる
用意が終わったのかその人は玄関から出て行きざま
「覚えておきな」
その言葉で私は理解する
あぁ、今日も殴られるのか
じゃあ活動できないかな
殴られることを理解しつつ
冷静に考える私に感情は無いのかもしれない
いや、かもしれないじゃなく・・・
ないんだ。
用意をしながら考える
いつからだろう心から笑わなくなったのは
フッ
今更考えてもしかたない、か
自嘲的な笑みを浮かべながら時計を見る
8時20分
この家から学校まで徒歩30分
完全遅刻だ・・・
でも私は慌てずいつもどうり家を出る