月夜に

「痛い」

「なにが?」

ポツリと言った私の言葉に水城が顔を覗き込んできた

とさらに痛い

なにがって?

「視線が」

そう言って痛い視線の主に目を向けると

こっちを睨んでいる女子の軍団と雷冠の面々

どうしてこんな視線を向けられるのかわからず、眉間に皺を寄せると水城が言った

「月華ごめんね、面倒なことになるかも」

そう言って申し訳なさそうに微笑む水城

理由は…おそらくここでは言えないんだろう

瞬時に携帯を取り出しメールを打つ

『なんなのか知んないけど、今日の夜活動の時に教えろ』

しばらくして水城と風真、燈火の携帯が震えだし内容を見た3人はそれぞれ承諾の声をあげた

と、そんなやり取りが気に入らない様子の雷冠の面々

綾瀬睦月が近づいてきて何かを言おうとした瞬間

ガラッ

苛立たしげに扉を開く音

その音に教室が静まり返り扉の方を見る

その人物を見て月華は顔には出さないが嫌な気持ちになる

そんな月華に水城が言う

「あれが雷冠の総長だよ」ボソッ

そう聞いた月華は心の中で盛大に舌打ちをした

そして早口で言う

「水城、私朝あいつのこと殴った、でいまは顔合わすとマズイ気がするから寝る」








< 29 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop