辛口男子の甘い言葉
その日のバイトに広瀬は来なかった。
「朔は帰ってくるのが遅いなぁ。」
「私にも広瀬はさっぱり理解できません。」
あいつ、私より先に学校から帰りましたよ。
…遅いっていうより、仕事ほったらかしてますよ。
とは思ったものの口にはしない。
店長はのんびりした人で、厳しくない人だ。
だから広瀬もここで働けているようなもの。
2人でため息をつく。
子供か、あいつは。
「いくら私が嫌だからって、仕事くらい休むなっつの!」
1人で帰る途中、ぼやいてみる。
すると
「誰が休んだって?」
「うわっ!!?」
真後ろから広瀬の声がした。
振り返ると、制服のままで家に帰ってない様子の広瀬。
「な、なな…んで?」
「店長のおつかいで遠出してたんだよ。」
え、店長それを早く言ってよー!!
今の言葉を聞かれたのが非常に恥ずかしい!!
「で?誰が仕事休んだって?」
質問は振り出しに戻る。
「いやぁ…その、ごめんなさい、勘違いしてました。」
「お前は俺を何だと思ってんだよ…」
「わがまま王子。」
パシンッ!
広瀬に頭を叩かれる。
「いたっ!!」
「即答すんな。」
なんだかんだで仲直り出来てます?