辛口男子の甘い言葉
ヒーロー
1時間目が終わった休み時間。
「んん……おもいー…」
荷物が入った段ボールを先生に運ぶように言われた私。
「おーおー、おつかれ様でーす。」
わざとらしい呑気な口調で横を通りすぎていく広瀬。
今頃登校かい!
朝からこいつがいなかったのは把握済みだ。
「ちょ…!」
てか、男なんだからちょっとくらい助けろよー!
と、前を向いた時
ふわりと荷物が軽くなる。
「あ、意外と重いし。」
目の前に立つ広瀬。
至近距離、真っ正面からみたこいつは思ってた以上にでかい。
肩幅も、背丈も。
「広瀬、身長何センチ?」
「あ?お前、最初に言うことあんだろ?」
偉そうに言うわりに楽しそうな広瀬。
「ありがとうございます、広瀬さま。」
「それでよし。」
そして歩き出す広瀬に私はついていく。
「178」
「なにが?」
「…身長だよ。お前が聞いたんだろ?」
「ああ!」
「ああ!、じゃねえよ!痛い奴見るような顔すんな!」
「ごめんごめん。」
この間の焼きそばパンの一件から、広瀬の背中を無心でじっと見てしまう癖がついた。
自分でもよく解らない癖。