辛口男子の甘い言葉
「奈絃ー、明日どっかいこ!」
唖然とする私の背後から声をかけてきたのはリッカ。
「…」
「なに?何でそんなぼーっとしてんの?」
「…また怒らせたみたい。」
そんな私の一言はリッカのため息を引き出す。
誰か、なんて言わなくても伝わるようだ。
「はぁ…そんなのいちいち気にしてたらやってけないよ?」
…それもそうなんだよね。
それから教室に戻ると、気にしてたことがアホらしくなるくらい、広瀬は普通だった。
─…
そろそろ店を閉める時間。
店内にいる2人の客さんのうち、片方の人のお会計が済んだ。
「ありがとうございましたー。」
「おい。」
レジにいた私に広瀬は声をかけてくる。
「何?」
「レジ代われ。俺がやる。」
「あ、そう?じゃぁ…」
いつもならレジは嫌だって言うのに…急にどうしたんだろ…。
「お前は奥で作業しといて。」
「え?でももう仕事ないんじゃ…」
後は店内の片付けだけでしょ?
「いーから!!」
いつになく強い口調に負けて、私は素直に奥へと引っ込んだ。