辛口男子の甘い言葉
「分かってるってば。そんなあしらい方しなくたって…」
「あ?んだよ、なら今探せって言うのか、お前。」
「そんなこと言ってない!」
「はいはい、2人とも落ち着いて。」
言い合いになりかけた私達の間に店長が入って仲裁する。
「とりあえず、今から俺がレジやるから、あっちいってろ。」
その言葉を聞いて、私は広瀬を残して先にバイトを上がることにした。
広瀬の思い通りになんかならない!
1人で帰らないと約束したにも関わらず、私はさっさと着替え、店を出た。
「だいたい言い方ってもんがあるてしょーが!」
イラつきから独り言がでる。
でもだんだん自分の子供っぽさにも呆れ、反省し始めた。
「お店閉める時間が近いのにレジ入るなんて、意味分かんないから…」
少しずつ声のボリュームが下がる。
すると、あることに気づく。
私の歩く足音に合わせた歩調で音がする。
コツ、コツ、
最初女の人かと思ったが、携帯の反射ミラーを使って後ろを確認すると、サラリーマンらしき男の人がついてきていた。