辛口男子の甘い言葉
言い終えた私はホッと一息着く。
「…なにそれ。」
「え…?」
突然広瀬が呟く。
ぶっきらぼうに言われた一言に軽く傷ついた。
「……。」
何か怒ってる?
やっぱ言うんじゃなかった?
背中を向けているから表情が分からなくて不安が募る。
広瀬はそんな私に向き直り、言った。
「……ズルい、お前。」
え…
何が……?
しかも耳まで真っ赤…。
真っ赤な広瀬と視線を合わせたまま固まっていた。
すると広瀬は私の背中に手を回してふわりと抱き締める。
……っ!!
私も火を吹くほど真っ赤だと思う。
ただ、広瀬も一緒だったから、恥ずかし過ぎて逃げたくなることはなかった。
それよりも真っ赤になった理由が聞きたい。
何!?
広瀬がおかしい…!!
温もりは一瞬だけで、広瀬は直ぐパッと身体を離した。
「…バイトの帰りは俺が送ってく。あと、1人で夜帰るときも俺に連絡入れろよ。」
ポケットに左手、首の後ろに右手をもっていって、俯き加減で言うから、照れているのがバレバレ。
「う、うん。」
うわっ、声上ずってる。
恥ずかし…。
「ん。」
手でガシガシと頭を撫でられ、胸がまたドキドキさせられる。
手を話すと広瀬は私に笑かけて帰っていった。