辛口男子の甘い言葉
広瀬の手をひょいっとかわし、写真に目を移す。
「あれ…?」
ある一枚の写真に目が止まった。
それは女の子と遊んでいる広瀬の姿が、すぐそこの公園で、遠くから撮られている写真。
へ、へぇ…女の子とも遊んでたのか…。
てゆーか、遠すぎて顔とかよく見えないんですけど…。
まぁ、ヒロ君のアルバムだし、広瀬と女の子の2ショットが綺麗に取れてるわけないよね…。
気になっているのを悟られないように見ていく。
「もーいーだろが。返せ。」
「あぁ!!」
気を緩めた隙にアルバムを取られてしまった。
「仲いいわねぇ。」
ふふ、と笑うママさん。
これって仲いいのかなぁ…?
広瀬に関して何にも知らないことを改めて感じた気がした。
「ちょっとくらいいいじゃん、ケチ。」
「うるせぇ。おら、早く勉強しろって。」
ヒロ君のママも昼ごはんの買い物に行くと部屋を出ていった。
私はブーブー言いながらしぶしぶ椅子に座る。
ふと広瀬を見ると…
「あー!自分だけズルい!」
静かに1人でアルバムを熱心に見ていた。
「……」
「…?」
私が声を出しても反応なし。
静かに背後から広瀬の見ているページを覗く。
「…。」
広瀬が見ていた写真はさっき私が目を止めた写真だった。