辛口男子の甘い言葉
「放課後どうしますか?」
「どうって、いつも通りだよ。リッカは部活、私はバイト」
「だよねー、んじゃ!!バイトがんばれ!」
お互い手を振りながら帰路につく。
本当に大変なのはここからだ。
─…
「何してんだよ、それはこっちだっつの。いい加減覚えろよな。」
学校でも何度となくきいた声。
そう、今、私の隣にはエプロンを着た広瀬が立っている。
私のバイト先はパン屋。
ここに広瀬が働いていたとは知らずにアルバイトとして来た私がバカだった。
「すみません、広瀬さん。」
「謝ってる暇あんなら手ぇ動かせ。」
「おっしゃる通りです、はい。」
配置を間違えたパンを元の位置に戻す。
ここで働き始めてはや1ヶ月。
広瀬と知り合ってからはや1ヶ月と半分。
高2の始業式に最悪な初対面をした。
───
─
「奈絃!私も7組!!」
「うそっ!!今年もリッカとクラス一緒じゃん!!やったー!」
クラス替えで喜ぶ私たちに後ろからあいつはやって来た。
「うるせぇな、他ん所で騒げよ。」
「…はい?」
─…
なんて横暴な奴だ、と思ったわ、ほんと。