辛口男子の甘い言葉
「あ…」
ふと店の端に置いてある商品に目がいく。
あのタオルの色…広瀬に似合いそう…。
そういえば、時々ヒロ君の部活の自主練付き合ったりしてるとか言ってたっけ。
あれ、プレゼントするとか!
値段的にもさりげない感じだし…。
「それいい!」
自分のナイスアイデアに思わず声が出る私。
「何、良いもの見つけたの?」
「あ…いや、私、ちょ…ちょっとあっちの方見てくる。」
「…?……おっけー。」
不思議そうな顔のリッカ。
私はリッカにバレないように、そそくさとそのタオルを手に取り、さっさとレジに向かったのだった。
「ふぅ…。楽しかったぁ。」
家について、自分の部屋で一息中。
…にしても。
これ、衝動買いに近い感じで買っちゃったんだけど。
どうやって渡そうかな…。
さりげなく…
「服買うついでに見つけたからあげる!」
…とか?
いやいや、これはなんか…拾いました、って感じするわな。
ここは率直に、
「似合うと思って買ったの。」
……キモい!
全力でキモい!!
私のキャラが崩れるわ!
そうしてベッドの上で暴れる私に冷ややかな視線を送ってくる人間が1人…。
「姉ちゃん…」
「うわっ!愁!?いつからそこに!?つか、勝手に入ってくるなって言ってるでしょーが!」
「…………。」
「…なに。」
「…妄想してたの見られて恥ずかしいからって、可愛い弟に当たんないでよ。」
「うっさい!出てけーっ!!」
それからは渡し方について考え、眠るのが遅くなってしまった。