辛口男子の甘い言葉
ゴクリ。
固唾をのんで廊下で待ち伏せ。
広瀬…早く来てってば!
この緊張なんとかしたい!!
私は昨日買ったプレゼントを手に、広瀬を待っていた。
あいつもしかして今日もまた遅刻か…!?
ドキドキかイライラかよく分からなくなってきた。
1人で葛藤している間に下駄箱に見覚えのある人がやって来た。
「あ…」
大きくあくびをするのが目に入った。
広瀬だと認識した瞬間、心臓がすごい速さで鳴る。
こっち来る!
どーしよ…どーすれば!?
さっきまで早く来て欲しかったのに、今はそれどころじゃない。
必死になる余り、テンパりすぎて空回りする私。
なんとか廊下の影に隠れてプレゼントを手に構える。
「…………っ…」
が、手が震えるわ、声は出ないわで…
結局広瀬は気づかずに通りすぎてしまった。
あーあ…
いっちゃった…。
タオルを握り締めていた力を緩め、小さくため息をつく。
夏はもう直ぐそこだ。