辛口男子の甘い言葉
更衣室を出て、自販機コーナーを探す。
「あ、あったあった。」
さっそく見つけて、購入ボタンを押した時。
「あ。」
ガコン!
ペットボトルが出てきたと同時に広瀬の声がした。
「ひ、広瀬っ!?」
「…なんだよ。」
「い、いや…別に何も……」
なんかすごい恥ずかしい。
息がつまって、スムーズに喋れなかった。
バスタオルくらい持ってくればよかった!
自分の姿が水着だったことに後悔をし、同時に広瀬も水着だということに気付く。
なかなか広瀬を見れずにいると、急に広瀬がしゃがみこんだ。
「えっ!?何っ!!?」
距離を取ろうとした私を見上げてくる。
「何って…この俺が飲み物取ってやろうとわざわざ…」
沸々と怒りがわいてきている話し方。
……。
「わー!!ごめんなさい、ごめんなさい!申し訳ないです!ありがとうございます!!!」
もう色々とごめんなさい!
変な勘違いしました!!
「…奈絃、あのさ」
「…?」
ペットボトル2本を私に手渡しながら、広瀬が口を開く。
「俺、お前に…」
な、なに…
何を考えてるのか、広瀬が緊張しているように見える。
その緊張が伝わって、私も心臓がうるさかった。