辛口男子の甘い言葉
「フッ…」
「奈絃、何笑ってんだよ。」
「いやぁ、広瀬と初めて会った時を思い出してて……フッ…」
「その笑い方キモい。」
「だって……フッ」
何だかんだ悪い奴でもなさそうなんだ、広瀬は。
口が悪いけど、雰囲気はトゲトゲしてないし…。
「ほんとお前はよく笑うよな。」
「お誉めの言葉、ありがとうございます。」
「そーゆー意味で言ったんじゃねーよ、ばーか。」
まぁ、時々カチンとくる時も多々ありますが…。
それからしばらく働き、2人同時に仕事を上がった。
「おつかれ。」
「おつかれさまー。」
広瀬は先に帰っていった。
私はマイペースに着替え、バイト先を後にする。
しばらく歩いていると、ふとあることに気がついた。
ロッカーに財布置き忘れた!!
慌ててUターンして来た道を戻る。
するとシャッターがしまっている店の前で誰かがいた。
思わず耳を澄ました時…
「好きなのっ!…私じゃダメかな…」
…これはこれは。
生告白現場じゃないですか!
思わず立ち聞きしてしまった。
「広瀬君、彼女いないんだよね?」
…は?
広瀬…??
まさか、と思いつつ、恐る恐る顔を確認する。