辛口男子の甘い言葉
─お前を巻き込みたくないから─
あ…
広瀬が店に来るなって言ったのは、こういう事だったのか…。
今思えば、広瀬の優しさだった。
ストーカーにあった時も、さりげなく守ってくれたりした。
何で信じなかったんだろ…。
後悔は遅く、呆然とする私の目の前にはあの男の子。
「…。」
なぜか無言で笑顔を浮かべている。
彼は黙ったまま、手を伸ばしてきて…
スルッと私の髪の毛に触れた。
ゾワッと嫌悪感がすると共に、目を疑うほどショックな光景を見た。
彼の手に私の髪ゴムがあったのだ。
「あ…!か、返して!!」
それだけはダメ!
広瀬からもらった物なのに!
必死な私にかまわず、彼は私の宝物を手にしたまま、走り去ってしまった。
「うそ……どうしよう………。」
急に大事な物を一気に奪われたように、ショックは大きかった。
その夜は泣いてしまい、次の日の朝、目が晴れてしまっていた。
…これじゃ泣いたのバレバレだ。
学校休もうかな…。
気分は何もかも最悪だ。
私は学校を無断欠席してしまった。