辛口男子の甘い言葉
「あのー…広瀬さん?」
「チッ…」
…何故か舌打ちをされた。
─…
「………」
「……………」
さっきから沈黙が続いている。
私は何か間違ったことをしたのだろうか…。
「あのー…私何か気にさわることしました……?」
探るように聞いてみると、
「別に。」
私と目も合わそうとしない。
ほらでた。
不機嫌なこいつは扱いにくい。
「じ、じゃあね。また明日。」
家の前で私は立ち止まる。
こいつの帰り道に私の家があるから、いつも帰りが同じ時は、送ってもらうような形になるのだ。
「……」
ジロ、と鋭い目付きで睨まれる。
う…なんでそんな睨むのさ…。
たじろく私を一瞬見てから、黙ってまた歩いていってしまった。
「なに…?腹立つ…。」
私は背中が見えなくなる前に家に入った。