辛口男子の甘い言葉
「それにしても朔ももう少し大人になったら色々と簡単なのに…」
「「確かに。」」
ヒロ君の言葉に私たち2人で同じく相づちをうった。
それから昼休みになり、私は1人で購買にいた。
毎日ランダムで買うパンだけど、今日に限って最後の1個が昨日と同じ焼そばパンしか残っていない。
仕方なくそれを購入し、教室に戻った。
そして教室では…
「ちょ、朔!勝手に俺の弁当食うなって!!」
「んなケチケチすんなよ。」
「いや、その前に自分のがあるでしょ!」
「俺今このパン食べる気分じゃねーの」
「はぁ?」
ヒロ君と朔のやり取りは教室に入ると、丸聞こえだった。
「あ!奈絃ちゃん!!」
ヒロ君が私に気付き、声をあげる。
「…」
隣に座る広瀬の声はもちろん無し。
「また焼そばパン?昨日もそれで朔ともめたんだっけ?」
屈託なく笑うヒロ君は、無理やりにでも私達を仲直りさせようと必死だ。
話題に朔を混ぜて話してくる。
私も広瀬とずっと喧嘩したままは嫌だから、それにのる。
「そうそう。さっき買いに行ったらこれしかなくてさー。昨日のような失敗はしないよ?」
チラッと広瀬の顔を見たが、目が合わなかった。
…ダメか。