またいつか
あり得ない。
ピレネー山脈を越えて更にローマまで越えなくてはいけないなんて。
何故こうなった。
何故こうならなくてはいけなかった。
私は胸が苦しくなった。
「トゥーニャも早く準備しなさい」
「……私はここに残る」
「何言ってるの!?死ぬかもしれないのよ!?」
「それでもいい!!私は動かない!」
彼に別れを告げずに発つことなんてできない。
私は両手を広げて叫んだ。
その拍子に隠していたネックレスが表へ出てしまった。
それを見た瞬間、母の顔色が変わった。
「それは……!あなたって人は……!今すぐ外しなさい!!」
「嫌だ!!これだけは絶対に外さない!!」
私は外へ駆け出した。
「待ちなさいトゥーニャ!!」