またいつか
「お嬢さん、どうしたの?」
ビクッとして後ろを振り返った。
肩を叩いたのが青年だと分かり、サッと身を引いた。
彼は一瞬驚いた顔をしたが、状況が分かり、苦笑いをした。
「あちゃー……お嬢さん、イスラームの人だったんだね。ごめんな?」
「いえ……」
私は親族以外の人に肌を見せてはいけない。
そして、親族以外の男性に触ってはいけない。
特に二つ目はシビアだった。
「もしかして初めて街に来たの?」
「いや、別にそういうワケじゃないですけど……」
随分昔に来たので記憶が無いんです、と言うと青年は人懐っこい笑顔を見せた。