百人殺せば英雄です
「八ノ月、葉月」
指先で火の漢字を描けば、ぼっと落ち葉から火があがる。
赤い陽炎にうんうんと満足して、早速芋を入れている時のことだった。
「よりちゃーんっ」
「うわーん」
「わわ、管狐君たちじゃない」
尾っぽに竹筒をはめた狐二匹が依子に飛び付いた。
わんわん、みぃみぃ、泣く管狐たちを依子はあやす。
「どーしたの、お腹空いた?」
「ちがうのー」
「大変なのー」
「犬神のおじちゃんがー」
「きられちゃったー」
「他にもー」
「いっぱいー」