百人殺せば英雄です
(二)
裏山の風景は紅葉狩りでもできそうなぐらい鮮やかに染まっていた。
整えられてない山道だが、獣道よりはだいぶましであろう。
暑くもない寒くもない気温。イガ栗や銀杏が落ちており、自然の豊かさを知る。
「ふう」
一息つくために、手頃な木に手をついた。
ここに来るまで何匹かの妖怪に出会った。皆、依子の友達であり、山から逃げている最中だった。
口々に「退治屋」がいると怯えている様子。
退治屋なんてそこいらにいるものでもないし、頭目に近い犬神のおじいちゃんが切られたのだからただ者でもなし。