お嬢様、家出しちゃいます!
チュンチュン
小鳥がさえずり、木の葉にはまだうっすらと朝露が残る、清々しい朝。
今日はまさに絶好の家出日和だ。
「神様もあなたの出発を祝福しているようね」
ソフィアは穏やかな顔をしていた。
もう一生会うことのないように感じられるようだった。
「リ゛、リ゛リ゛ア゛。困゛っだヴぁ、ごれ゛うぉ見ばばいぃ」
浩太郎は顔を涙でびしょびしょにしながら、一枚の紙切れを差し出した。
「もう、お父様ったら・・でも、ありがとう」
リリアは呆れながら紙切れを受け取った。
「お嬢様、本当にお1人で行かれるのですか?」
如月は今までで1番眉間にしわを寄せていた。
「えぇ。だって家出ですもの。心配しすぎよ!もぅ・・」
リリアははにかみながら頬をぷくっと膨らました。
「お言葉ですが、電車にもお1人で乗れないくせに、家出だなんて・・」
「むっ!まだ言う気?」
いつものように毒舌を吐く如月だが、これが彼なりの精一杯の別れの言葉だった。
「さぁ、この調子じゃお昼になってしまうわ!リリア、お行きなさい」
ソフィアはパンパンと手を鳴らし、場をまとめた。