お嬢様、家出しちゃいます!
お嬢様の物件探し


ガヤガヤガヤ


もう何時間歩いたのだろうか・・・


出発したときにはまだ太陽は傾いていたのに、いまや真上でその輝きを放っている。


如月には言い返したものの、実際に電車に乗れるわけでもなく、かと言って行くあてもなく。


気づけば全く知らない大通りに出ていた。


人混みにもまれ、リリアは少し吐き気を催していた。


(とにかく、どこかで休憩しましょう)


横道にそれると、辺りは一変して、閑静な住宅街が広がっていた。


しばらく歩いていると、小さな公園を見つけた。


よく見ると、イスのようなものもあったので、そこに座ることにした。


「ふぅ、これからどうしましょう・・・」


ぐぎゅるるるるる


「あら!あたくしったら、なんてはしたない」


リリアは誰もいないにも関わらず、頬をピンクに染めた。


「そうだわ!もったいないけれど、仕方がないわね」


そう言うと、リリアはリュックからおにぎりを取り出した。


これは、朝、苦手な早起きをしてソフィアが作ってくれたものだ。


貴重なものなので、大事に時間をかけて食べるつもりだったのだが、背に腹は変えられない。









< 16 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop