お嬢様、家出しちゃいます!
お嬢様の物件探し
ガヤガヤガヤ
もう何時間歩いたのだろうか・・・
出発したときにはまだ太陽は傾いていたのに、いまや真上でその輝きを放っている。
如月には言い返したものの、実際に電車に乗れるわけでもなく、かと言って行くあてもなく。
気づけば全く知らない大通りに出ていた。
人混みにもまれ、リリアは少し吐き気を催していた。
(とにかく、どこかで休憩しましょう)
横道にそれると、辺りは一変して、閑静な住宅街が広がっていた。
しばらく歩いていると、小さな公園を見つけた。
よく見ると、イスのようなものもあったので、そこに座ることにした。
「ふぅ、これからどうしましょう・・・」
ぐぎゅるるるるる
「あら!あたくしったら、なんてはしたない」
リリアは誰もいないにも関わらず、頬をピンクに染めた。
「そうだわ!もったいないけれど、仕方がないわね」
そう言うと、リリアはリュックからおにぎりを取り出した。
これは、朝、苦手な早起きをしてソフィアが作ってくれたものだ。
貴重なものなので、大事に時間をかけて食べるつもりだったのだが、背に腹は変えられない。