お嬢様、家出しちゃいます!
「え、お金がない?じゃあ、泊められないよぉ」
「そうですか・・失礼いたしました」
さっきから何度この会話を繰り返したのだろう。
再び大通りに戻ってホテルを見つけたはいいが、リリアはお金を持っていなかった。
普段は、会計は大抵如月が済ませるか、たまに自分でやっても支払いはいつもカードだった。
そのため、お金というものに意識が回らず、一銭も持たずに出てきてしまったのだ。
当然、お金のない客を泊めてくれるホテルなどなく、リリアは何度も門前払いを食らっていた。
「はぁ、失敗だわ。もう、真っ暗になってしまった」
ホテルを訪ね歩くうちに、気づけば夜になっていた。
「あら?あそこはなんだか明るいのね。行ってみましょう」