お嬢様、家出しちゃいます!
「なっ、ななななな!!」
あまりの突然さにリリアは後ろが壁だということも忘れてめり込む勢いで後ずさった。
常識的に考えて、ここは相手を平手打ちするとか、叫ぶとか何かしら嫌悪感を表すものだろう。
だが、リリアは少々驚いたが嫌ではなかった。
出会って間もないこの男と、もっと触れていたいと思った。
(あ、あたくしったらなんてことを考えているのっ//)
自分の欲望に対処しきれず、リリアは頬を真っ赤に染めた。
顔が火照ってほわほわしてきた。
「行くぞ」
いきなり男はくるりと背を向け歩き出した。
「ちょ、ちょっと!!」
リリアは自分の世界から無事帰還し、弾かれたように男の後を追った。